上図(以下図A)にすると上のような感じになります。
普通の靴とどう違うのか?
パーツごとに解説していきたいと思います。
フットベット
上の図の足の下にある青い部分です。
これが既成靴と一番違う特徴の一つでしょう。
整形靴では一人一人の足に合わせて、必要な矯正を削り込んで/付け足してラストを形成し、その上にフットベットを制作します。
木型の底の形にぴったりと合わせられ、ローリングソールも症状に合わせて削り、中底を付けて吊り込み準備完成です。
フットベットは靴が完成した後は取り外し可能で、後から緩衝材を加えたり、もしも靴が窮屈であれば少し削って薄くしたりするなど、色々と調整が可能です。
素材は昔は革で貼って下に緩衝材やコルクを使っていましたが、今は熱変性するサンドイッチ構造のマテリアルをラストに吸着させて作ることが多いです。
もし脚長差補正や内・外側補強など必要な場合は、このフットベットを高くして補正するので、外からは見えないようになります。
踵芯・前芯
踵芯
図Aの緑の線の部分です。
普通靴だと「踵を支える」とありますが、整形靴だと「後ろ足全体」がコアになります。
なので、踵芯も長く、歩行の蹴り出し時に曲がる足指の付け根の関節の手前まであります。
それによって左右のぐらつきを防ぎ、歩行時の安定を促します。
また、足首の関節に問題がある場合、図Aの上のように踵芯を高く伸ばして足首を固定したりします。
例えば、足が極端に内側に倒れてしまう場合は内側部分だけを高くしたり、足首を上下に曲げることは問題ないけれど左右にブレて足関節に痛みがある場合はアキレス腱部は空けて左右の踝を覆うように高くする、など。
図Aの踵芯を型紙に起こすと下の写真のようになります。
踵芯の種類は「整形靴のかかと芯の種類」にまとめてあります。
前芯
図Aの赤い線で描かれた部分です。
基本的に普通靴と同じで、指先保護と爪先の形状維持の役割を持っています。
前足部を切断している場合や、左右の足の長さが極端に違う場合でも、左右の靴の長さは同じにする場合が多いので、前芯を長くして形崩れを防ぎます。
逆に糖尿病足用の靴ですと、指先が硬い部分に触れないように短くしたりもします。
アッパー
これも普通靴と基本的に同じです。
高さのある踵芯を入れる場合、ライニング(内側の革)と外の革との間に緩衝材を入れて履き心地を良くしたり、足首が曲げづらい人には履き口を広く取ったりします。
また、足首を完全に固定する必要がある場合はベロにも芯を入れることもあります。
症状によって向き不向きなデザインがあるので、患者さんとよく話し合って決めることが大切です。
靴底
症状に合わせた調整がフットベットや前芯・踵芯で十分ならば、ソールで何か特別なことをする必要はありませんが、
- 図Aの様にヒールのオレンジ部には緩衝材が設置し、踵着地時の衝撃を和らげる
- 外側もしくは内側に足が倒れてしまう場合は底を外に張り出すように成形
- 中底の下にカーボンなどの硬化材を付ける
- ローリングソールをさらに付ける
などすることができます。
最近はソールのバリエーションも増えて、見た目もよくなりました。
色々なものを足して行くと靴は大きく、重たくなってしまうのですが、その人の症状に合わせて色々と変えていけるのがオーダーメイドの面白いところだと思います。
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