嫁・姑

整形靴

「子供にインソールが処方されたのですが、インソールには硬くしっかりとした靴を履かせた方が足に良い。

と姑が言うのですが、本当でしょうか?

普通のスニーカーではダメなのでしょうか?」

という質問を以前にドイツ在住でドイツ人と結婚された日本人の方にされたことがある。

確かにそう言われている時代があった。

でもそれは20年以上は昔の常識。

しっかりした靴が悪いわけではない。

良い靴」にも流行り(?)がある

それこそ、20年くらい前までは、子供の扁平足には硬い、コルク+レザーのカップインソール、

それにプラスしてハイカットのしっかりした靴を履かせる、というのが良いとされていた。

処方される子供のインソールの数も今よりも断然多かった。

それは、

子供の足の変形は骨格が柔らかいうちに矯正するのが良い

というのが正しいとされていたから。

今では

2歳〜5歳くらいの子供の扁平足は成長の過程でなるもので、体の発達とともに筋肉がつき、自然と改善されていく

と言う考えが主流となり、子供のインソールも、昔よりもフレキシブルな素材が使われるようになり、あくまで補助的な役割を果たす形に変わっている。

内股など、歩行の修正には知覚連動インサート(セラピーインソール)を勧められる場合も多い。

あまりにフワフワした柔らかい靴は、変形を助長してしまうことがあるので、おすすめはできないけれど、中敷を抜いて医療用のインソールを入れることができて、サイズが合っている靴なら、値段は安くても高くても良い。

そして砂浜、砂場や芝など、裸足で歩けるところは靴を脱いで自由に歩いたり走ったりさせてあげるのが、足の健やかな発達の助けになる。

嫁・姑ではないけれど、工房でも

ベテランの職人(年齢が上の人)ほど、硬くしっかりした素材で、しっかりと足を支えるような整形靴を作るのを好む傾向がある。

が、今はフットベットも柔らかい素材で、軽さと快適性を提供する流れになってきている。

(硬いマテリアルほど重たい)

これは、どちらが良い・悪いとか、正解・不正解とは関係なく、既成靴の流行りに左右されているのではないかと思う。

重く、しっかりした靴が良いとされていた時代のあとは、

ローリングソールやアーチを支えるなど、ソールに機能を備えた靴が流行った。

それから、ここ10年、既成靴はより軽く、より柔らかいものが好まれ、市場にあふれている。

そのような靴を履き慣れたお客さんには、硬く、重たい整形靴は

足に合わない」「不快」に感じる。

そんなお客さんの要望に合わせて、整形靴もより軽く、より柔らかく作られるようになってきた。

吊り込みマシーンや、蒸気や熱を使って行われる吊り込み・底付作業もそういう柔らかいフットベットに対応しやすいのではないかと思う。

このあとどんな靴が流行るのかは全く想像できないけれど、

整形靴の世界はまだこの軽く・快適な、という靴の追求は続きそうだ。

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