整形靴は足首の稼働域や重心の問題によってかかと芯の形が変わります。
(整形靴全体の特徴は整形靴の構造を見てください。)
上の写真のように足首関節は距骨をはさんだ上下二つの関節ー上(赤)距腿関節と下(緑)距骨下関節から成り立っています。
下図aは距腿関節(赤)が作用し、bとcは距骨下関節(緑)が関わっています。
かかと芯の種類は大きく分けて4種類。
月形芯
ドイツ語だと Normale Kappe で、「普通の芯」。
足首の動きは図1のa-b-c-dいずれも問題ない場合に使われます。
整形靴の場合は、下写真の緑の線のように、かかと部だけでなく、足の親指の付け根の手前から小指の付け根の手前までと普通の靴よりも長く作られ、歩行時の左右のぐらつきを防ぎます。
踝部キャップ
足首の靭帯が弱い場合にくるぶし部をサポートし、歩行中の極度の内回または外回を防ぎ、歩行の安定性を高めます。(図1 c)。
形は内側の足首のみ、外側の足首のみ、または内側と外側の足首両方の3種類で、症状に合わせて使い分けます。
踝部キャップ 両サイド
距骨下関節(写真上:緑)の動き(図1b・c)のみを固定。
足首を固定している靭帯が弱く、歩行が安定しない場合や、足首固定手術後に完全に固定されず、歩行時にわずかなズレやぐらつきが痛みが生じる場合などに用いられる。
アキレス腱部は空いているため、背屈・底屈の動き(図1a)は可能。
踝部キャップ 片側
内くるぶし又は外くるぶしを支えるかかと芯。
外または内側に重心がずれている場合、または歩行時にずれてしまう場合に設置されます。
関節固定キャップ
上写真の赤い線ー距腿関節ーに痛みや炎症がある場合に足首関節を固定します。
これらの高いかかと芯は症状や荷重の大きさに応じてさらに補強することもあります。
腓骨神経麻痺用キャップ
腓骨神経が麻痺すると、足を背屈する(図1a)ことができなくなり、だらんと下にさがってしまいます。
これをこのキャップによって足の底屈を90度に固定し、歩行時に足先が引っかからないようにします。
足の変形がそれほどひどくない場合はこれらのかかと芯は靴としてでなく、内底靴として作って既成靴と一緒に履くこともできます。
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