資格社会のドイツ。
職人資格(ゲゼレ)
を持っている人は圧倒的に多いです。
でも、移民も多いので、その中で靴製造に携わっていた人は、即戦力として整形靴の工房に正社員として採用されることもあるので、
有資格者と無資格者は混在しています。
職業訓練を受けられる条件は、
「整形靴の会社で働いてること」
なので、外国人であっても、滞在ビザがあればドイツで職業訓練を受けることは可能です。
ただ、正社員からお小遣い程度の給料の職業訓練に移るのはなかなか難しいようです。
(社会制度を利用すると補助をもらうことも可能)
もちろん、職業訓練を受けなくても、五年以上整形靴の工房で働いていたという経歴を証明し、理論と実技テストに受かれば「ゲゼレ」の資格はもらえて、そこからマイスターを取ることも可能になります。
が、働きながら理論をコツコツ勉強するのはもちろん大変なので、
会社と交渉をして給与を上げていくことができれば、
必要ない
という判断をする人も少なからずいます。
それはゲゼレからマイスターを取るかどうかの判断をする場合にも言えることで、例えば、
私の勤めている会社は父と息子2人、3人の共同経営ですが、
お父さん(現在72歳)はマイスターの資格は持っていませんが、26歳の時から工房長として勤務してきて、整形外科の先生とも交友関係を築いてきた人で、彼曰く、
『別にマイスターの資格がなくても、工房長もできるし、たくさんのマイスターや職人を指導したり、職業訓練性を育ててきたし、
自分の満足する仕事と給料がもらえていたからそれで十分だった。』
お客さんもこの人をマイスターと信じています。
この人は私が知る中で最も有能なゲゼレです。
2011年から、2人の息子(両方とも整形靴職人マイスター)と共に独立、今では7つの支店を持つ会社の経営者となっています。
彼の医師とのコネクションがなければ、ここまで大きくなっていなかったでしょう。
もう一人、職人としてすごく有能な無資格者を例として。
カザフスタン出身の彼は、16歳〜19歳まで、地元の靴工場で働き、20歳でドイツにきてから27年間ずっと整形靴の工房で職人として働いています。
とにかく何でもできる!!
仕事が早い!!!
そして口がたつ!!!
社長達とは二十年来の仕事仲間で、
私が入社した、まだ支店が2店舗しかなかった時、1支店の工房(ドイツ人職人1人+職業訓練性1人)の責任者でした。
私はマイスターとして雇われましたが、ポジションがゆらぐことはなく、
規模は小さいですが、実力だけで工房長になったわけです。
あれから9年、その彼がこれからまずはゲゼレの資格を取得し、最終的にはマイスターになろうと動き出した!
なぜ今になって?
これには整形靴業界の作業内容の変化によるものが大きいのですが、
それについてはまた別の記事に書きたいと思います。
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