日本では「マイスター」= 「熟練職人」というイメージを持たれがちですが、ドイツでは整形靴マイスターの資格は基本的に「独立・出店の資格を持つ者」という位置付けになります。
なので、これから支店を増やして会社を大きくしていこうとしている会社にとってはマイスターを雇うことが必須となります。(あくまで、処方箋を受け取り、保険会社に料金を請求する場合)
(全ての手工業でマイスターの資格がなければお店が出せないわけではありません。)
もちろん、マイスター取得者が皆お店を出すわけではなく、多くは会社に雇用されます。その場合は例えば、
- 工房長
- 課長
- 支店長
- 病院などの外回り
- メーカーで商品開発
- 見積書の作成など専門事務作業
など様々ですが、支店長と病院などの外回りを兼任する場合もよくあります。
他に大切な役割として、職業訓練生の教育があります。
職業訓練生が入ると、必ず責任者としてマイスターの登録が義務付けられています。
とはいえ、マイスターがつきっきりで指導をする、というわけではありません。
日本から職業訓練にきた人で、
「もっとマイスターに教えてもらえるのかと思った。」
という声も聞きます。
マイスターはあくまで管理者で、実際の業務を行っている職人(ゲゼレ)に指導をしてもらう、パターンも多いのではないかと思いますが、毎日その業務を行っている人に教えてもらうのが一番良いです。
残念ながら?マイスターだから技術的に優れている、というわけではありません。。
ただ、テスト対策となると、熟練職人ほど理論から離れてしまっているので、現場ではそれで良いけれども、テストでやると理論的に間違っている、というケースもよくあるので、そこはマイスターがコントロールする必要があります。
ちなみに私が働いている工房では、工房長というポジションはなく、工房の仕事全体のオペレーションをゲゼレが担当しています。
会社によって誰に何をさせるかは様々です。
私のマイスター学校の同期(17人)の進路は、
- 親がすでに整形靴の会社を経営していて、マイスターとして一緒に働く(4人)
- マイスター取得後すぐに独立(2人)
- ゲゼレとして働いていたお店にマイスターとして戻る(7人)
- 別の整形靴店に就職(3人)
- 不合格(1人)
私の知る限り、今年同期の一人が独立してお店を出すそうです。
学生向けに様々な職業について情報を掲載しているインターネットサイトによると、雇われ整形靴マイスターの給与はおよそ2900€になるそうです。手取りにすると約1913€(日本円にすると約24万円)。
しかし、昇給は交渉次第です。
給与が自動的に上がる、ということはありません。
自分の実績を証明して、社長に交渉してもっともらっている人もたくさんいます。
職人(ゲゼレ)の給与に関しては「整形靴職人(ゲゼレ)の仕事」の終わりに記載しました。
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