靴を作るための木型/ラストを制作するには足の計測をする必要があるわけですが、
(計測に必要な道具に関してはこちらを参照してください)
まず、フットプリントを採り、足の幅や長さが分かるようにします。
下の写真のようなものなら、足裏のどこに圧がかかっているのかなどが見てラストの底にに凹凸をつけ、その人にあったフットベットを作って靴を制作します。
これがいわゆる「整形靴」の作り方になります。
普通の靴ならば、紙に鉛筆で足の周りをなぞって描くだけでも十分です。
(鉛筆を垂直に保つことが重要!)
それから足囲を測っていきます。
測定箇所は上の図のようになります。
全てを測る必要はありません。
私の会社では、
1、2、3、4、Fw、5、6
しか測りません。
(5と6はハイカットの靴の場合のみ)
どこを測るかは会社、またはマイスターの方針によって違います。
会社の場合は足の計測をした人がラスト制作をするとは限らないので、「どこを計測するか」はきちんと決めてあることが重要です。
それぞれの測定箇所の詳細:
1. ボールガース
足指の親指の付け根と小指の付け根をとりまく(中足趾節関節)回り寸法
足の幅の最も広い部分です。
2. ウエストガース
指の付け根の後ろの最もくびれた部分の周囲の寸法
3. インステップガース
土踏まずの上に当たる楔骨と第一中足骨の関節の隙間から第5中足骨基部を含む周径
(インステップ=足の甲)
Fw. ショートヒールガース
カカト後ろの下の丸みからインステップガースの頂点の周囲の寸法
4. ヒール ガース(ロングヒールガース)
カカト後ろの下の丸みから足首の前側を囲んだ寸法
5. アンクルガース
外くるぶしと内くるぶしを囲んだ寸法
6. 履き口内径
履き口上部の内径(内寸)
Z. トゥーガーズ
親指から小指を囲んだ寸法
Kz. 小指周径
親指の付け根と小指を囲んだ寸法
*ガース(girth)=周囲・胴回り
ラストを制作する際は、全ての寸法を足と同じにするのではなく、
「締めるところは締め、緩めるところは緩め、ピッタリ合わせるところは合わせる」
ことが履き心地と歩行に大きく影響します。
青い線が周囲の寸法、
赤い線がノギスで測った長さです。
ボールガースやヒール ガース、小指周径は余裕を持たせ、ウエストガースは絞り、インステップガースはピッタリさせるようにするのが基本です。
ヒールスプリングを高くすればするほど、足長やヒールガースは短くなるので、足を測定時にはヒールスプリングを決めて、その高さで測る必要があります。
ラスト制作は細かくやろうと思えば思うほど沼にハマっていきます。。。
どこを必ず合わせてするか、ある程度の折り合いをつけて、仮合わせした後調整する方が効率的でしょう。
コメント