中間試験と職人試験の内容はすなわち、整形靴職人として最低限求められることがテストされます。
これはもう14・15年前の私が受けた州のものですが、今でもそんなに大きくは変わっていません。
中間試験
筆記試験と実技試験各1日づつ。
実技試験の内容は、
1)テストピース:ボール部ローラーとそれに伴うヒールの高さ調整 (所要時間3時間)
その他所要時間内に作成するもの:
- マテリアルリスト
- 作業プラン
- 作業図面(縮尺1:1で既成靴とローリングソール、ヒール調整を横と下から見た図)
2)作業サンプル:整形靴の構成要素のモデリングと挿入と関連するアッパーの吊り込み (所要時間4時間)
所要時間に行うこと
- 前芯・踵芯の型紙作成
- 構成要素(中底・前芯・踵芯・サイドライニング)を制作・挿入
- アッパー吊り込み
- 持参した対の片方と同じかコントロールする
職人試験
筆記試験1日、実技試験3日間。
実技試験の内容は、
1)作業サンプル:整形靴1足(所要時間12時間)
- 最低でも片方に整形外科的になサポートエレメントが入っていること。(4cm以上の脚長差補正またはそれ同等の物。症状例: 内反足、扁平足、凹足、麻痺など)
- 試験で完成させる作業サンプルの課題は、試験日の3週間前までに試験委員会に書面で提出すること。
- 試験当日は、作業図面(側面図、後正面図)、作業説明書を提出すること。
- ラストは完成したコルクのフットベットとアッパーと一緒に持参すること。 踵芯は事前に切っておいても良いが、何も加工していない状態であること。 それ以外のマテリアルもテストの前に底材全体が未処理の状態であるかどうかがチェックされます。
- 床は接着または手縫い。 革ウェルトの使用と革底の作成は必須です。 また、個人の創造性に制限はありません。
- 割り当てられた12時間の時間以内にサンプル制作が終了した場合、残りの時間を他のテストピース制作に当てることはできません。 テストピースと作業サンプルは分けて作業されます。
2)テストピース A:補正インサート
- 内反足補正インサートは、患者から採取したネガティブフォームからポジティブフォーム(ラスト)を作成して制作し、既成のインサートは使用しないこと。
- 試験会場でステップフォームまたは石膏ロンジェットに適切な材料(発砲樹脂・石膏)を注ぎます。 結果として得られるポジティブモデルは、内回足補正(縦方向および横方向のアーチサポート)に必要な修正処理をすること。 この補正が施されたポジティブラストを使い矯正インサートを構築します。 材料の選択と組み合わせは、症状に基づいて選択されます。 完成したインソールは、持参した既製靴に正確に挿入して下さい。
3)テストピース B:蝶型ローラー+横アーチパット
持参する物
- 患者関連の文書(フットプリント、処方箋など)
- 適切な既製靴(フィンコンフォートなど中敷き入りの靴は禁止)
- 未処理の材料
試験中に作成する物
- マテリアルリスト
- 作業プラン
- 作業図面(縮尺1:1で既成靴とローリングソール、ヒール調整を横と下から見た図)
蝶型ローラーの造作
- 中足骨骨頭 (II・Ⅲ)部の中底に穴を開け、クッション材を挿入する。
- ヒール高の調整
- カバーソール(アウトソール)
- 中底上に横アーチサポートを配置した後、革の上敷きを取り付けて仕上げること。
テストピースAとBの所要時間は7時間。
テストピースの成績の一つが合格基準に満たなかった場合、合計点が合格点に達していたとしても職人試験は不合格とする。
テストの評価は下図のようになっていて、一番良い成績が1で数字が大きくなる程悪くなり、最低が6です。
職人試験の合格ラインは4。つまり45%。
決して高くはないので、ほとんどの人が合格します。
不合格の要因になるのは
- 時間内に仕上げられなかった
- 作成したものが理論的に正しくない。
といったところでしょうか。普段やり慣れてない作業である場合は時間がギリギリになりますが、皆大体間に合ってます。
ちょっと仕上げを失敗した、ライニングにシワが入ってしまった、ぐらいは減点されるくらいで、不合格にはなりません。
筆記テストは実技テストの数週間前に実施され、点数が悪かった場合「口頭試問」の招待状が届きます。。救済措置なわけですが、「ドイツ語あんまり話せない・聞き取れない人にとっては何の救済にもならない!」と思って私は必死に勉強しました。
政治経済の問題はマークシートでした。
過去問など、職業学校で試験対策はしてくれます。
実技テストの結果は試験最終日に発表されます。(かなり待たされましたが。。。)
全員集められて名前と点数が読み上げられました。
正式なテストの成績表とGesellenbrief(職人証書)は後日
テスト作品は私の場合は整形靴も蝶型ローラーも本物のお客さんの注文品を作らせてもらったのでテスト終了後無事に納品されてゆきました。
ほとんどの会社はテスト用に用意してくれます。
中間試験に合否はありませんが、中間試験を受けなければ職人試験受験資格も与えられません。
この職人試験に合格すれば『ゲゼレ(職人)』となります。
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